防音に適したガラス
内窓での防音を考えるのであれば、ガラスは厚いものの方がより防音性能は高くなります。 よくある勘違いとして、「ガラスが2枚になっているので、ペアガラスは防音性能が高い」 というものがあります。これは正しくはありません。2枚分の厚みがあるのに遮音効果が低いというのは一見矛盾しているように思えますが、一体どういうことなのでしょうか? 実際に防音性能のデータを見てみましょう。下のグラフは一般的な住宅に使われている最も薄い 透明3ミリガラスとノーマルペアガラスとの比較です。
車や電車、人の声など、騒音のお悩みが最も多く寄せられる音域は、200Hz〜800Hzの周波数 (赤い帯部分)になります。この音域ではペアガラスは透明3ミリガラスよりも防音効果が 下回っています。 この理由はペアガラスの構造にあります。 ペアガラスは同厚の2枚のガラスで空気を密閉した構造になっています。この密閉された空気が ガラス同士の共鳴を起こし、共鳴中は著しく防音性能が低下してしまいます。 そのため、ペアガラスよりも共鳴しない3ミリガラスの方がこの音域では騒音に強いのです。 共鳴はペアガラスのみに起こる現象で、この特性からペアガラスは一般的な騒音に対して弱く、 防音に不向きであると言えます。 この共鳴は、異なる厚さのガラスを用いることで抑えることが出来ます。 弊社のオリジナルガラス『防音高断熱ペアガラス』が、5ミリと3ミリの異なる厚さのガラスを 使っているのはまさにこの共鳴を抑えるためなのです。
弊社に寄せられる問い合わせで
「防音合わせガラスの防音性能は○○ガラスの何倍ですか?」
という質問は非常に多いです。これについては明確に何倍と回答することは困難です。
下の防音性能のデータをご覧ください。
どんな厚さのガラスでも特定の高さの音で振動し、振動中は防音性能が低下するという特徴があります。上の図の透明3ミリガラスであれば4000ヘルツ(Hz)で大きく性能低下の谷が出ているのが分かります。(☆1)
透明3ミリガラスは4000ヘルツ前後で振動し、この音域で防音性能が大幅に低下します。
透明5ミリガラスの場合は、2500ヘルツ前後の音域で防音性能が低下します。(☆2)この共鳴によって音がすり抜け、防音性能が落ちてしまう現象を「コインシデンス効果」と呼びます。
このようにどんな厚さのガラスも、必ず防音性能の低下する谷が発生します。
しかし、防音合わせガラスの場合はちょっと様子が異なります。
防音合わせガラスは2枚の板ガラスの間に柔らかい遮音フィルムを圧着した構造になっています。
中間空気層が無く、圧着したフィルムによってガラスの振動を極力抑えることで、防音性能低下の
谷が出来にくくなるのです。
防音合わせガラスが「最も防音効果に優れている」というのは、防音性能低下の谷がなく、
(他のガラスと比べ)どの低音域から高音域までオールマイティーに強いという意味です。
グラフの防音性能の差を体感的にあらわすと以下のようになります。
【音の感じ方参考表 】
音圧レベル差 (dB) |
音のエネルギー (倍) |
感じ方 |
---|---|---|
3 | 1/2 | かろうじて差がわかる |
5 | 1/3 | はっきりと差がわかる |
10 | 1/10 | 半分くらいに感じる |
20 | 1/100 | 大差があるとわかる |
従いまして防音合わせガラスを上のグラフの透明3ミリガラスや透明5ミリガラスと比較して表現すると以下のようになります。
- 透明3ミリガラスと比べて…
- 2500Hzの音域までははっきりと差がわかるくらい違います。
2500Hz以上は大きな差があると感じます。 - 透明5ミリガラスと比べて…
- 1600Hzの音域まではかろうじて差が分かる程度の違いですが、1600Hz以上については、大きな差がある〜はっきりと差があると感じます。
低音から高音までのオールマイティな防音を望むのであれば防音合わせガラスは最も優れたガラスとなりますが、ある程度特定の音への対策であれば、透明5ミリ程度でも十分である場合も少なくありません。ぜひお困りの騒音に合わせたガラスをお選びください。
以下にお困りの騒音源別に
どのガラスが有効なのかの目安を作成しました。
是非ご活用ください。
※グラフ中の「オススメガラス」は性能の高低と価格のバランスが良いものを表示しております。